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STPR MAGAZINEVol.022

すとろべりーめもりー Vol.10th anniversary ~すとぷり ARENA TOUR~

すとぷり2026.8
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左にスワイプしてめくれます

途切れなかったバトンは、ドームを越え、さらに大きな夢へ

2.5次元アイドルグループ・すとぷりが、結成10周年を記念したアリーナツアー『すとろべりーめもりー Vol.10th anniversary 〜すとぷり ARENA TOUR〜』を開催した。6月の愛知・IGアリーナに始まり、大阪・大阪城ホール、福岡・マリンメッセ福岡を巡って、8月18日から20日の東京・国立代々木競技場第一体育館で幕を下ろした、4都市・全13公演・総動員約15万人の大規模ツアーである。ここでは、その締めくくりとなった東京公演の模様をお伝えする。

すとぷりは、動画配信サイトを中心に活動してきた2.5次元アイドルグループだ。“歌ってみた”をルーツに、莉犬・るぅと・ころん・さとみ・ジェル、そして発起人でありリーダーのななもり。を加えた面々で親しまれ、ネットの画面越しに広がった人気は、やがて幕張メッセ、そしてドームへと会場を押し広げてきた。10年という歳月のなかには、決して平坦ではない時間もあった。それでも一歩ずつ歩みを進めてきた5人が、その集大成として臨んだのが今回のアリーナツアーである。全13公演・総動員約15万人という数字が、彼らの歩んできた道のりの大きさを、静かに物語っていた。

開演を前に、ステージは白い幕で覆われていた。やがて莉犬とるぅとによる影ナレが流れ、それが終わると、10周年を記念した楽曲「シンデレラへ。」が場内を満たしていく。徐々に大きくなっていった楽曲が終わると、場内は暗転した。巨大なLEDスクリーンに、そしてステージ中央の照明が、まるで時計の針を巻き戻すように動き出す。時間はゆっくりと、すとぷりが結成される前へと遡っていく。画面には、メンバー一人ひとりの半生をたどるように、すとぷりと出会う以前に抱えていた想いや出来事が映し出され、そこには歴代アルバムのジャケットやこれまでのライブ映像も織り込まれていた。彼らが歩んできた時間そのものを、逆再生していくような映像である。やがて浮かび上がったのは、5人を映す“瞳”。その中にいたのは、すとぷりの発起人でありリーダーのななもり。だった。彼が5人の背中を押し、10秒のカウントダウンがゼロを刻むと、10周年を祝うライブが、いよいよ上がった。

1曲目は「Prince」。王冠をかたどったゴンドラに乗り、歌いながら5人がゆっくりとステージへ舞い降りてくる。ゴンドラでの登場はグループ史上初。まさに“王子様”を象徴する幕開けから、ライブは動き出した。メンバーは新衣装を身にまとい、それぞれのイメージカラーに染まるマントを羽織っている。お城や舞踏会を思わせるセット、レッドカーペットのように客席へ伸びる花道、昇降と回転を備えたセンターステージ、さらにスパークラーやファイヤーボールの特效も相まって、会場はすとぷりの世界そのものへと塗り替えられていく。Princeは3rdフルアルバム『Strawberry Prince』の世界を象徴する代表曲であり、“王子様”というすとぷりのイメージそのものを体現する一曲だ。この日とりわけ強い印象を残したのは、落ちサビで聴かせた5人のアカペラだった。伴奏が止み、生の歌声だけが会場に響くその瞬間、王子様たちの登場に沸いていた歓声もぴたりとやみ、5つの声だけが広い会場を静かに満たしていく。10周年という節目に改めて重ねられるその歌声に、開幕から一気に引き込まれていった。

続く「プロポーズ」は、HoneyWorksが手掛けた2021年発表の一曲。“僕はずっと君の中のプリンス、君もずっと僕のプリンセス”と誓うこの楽曲は、お馴染みのダンスとともに、出会えた奇跡そのものを慈しむように歌われる。大人になっても消えてほしくない繋がりを願うその言葉は、10年をともに歩んできたすとぷりとリスナーの関係に、そのまま重なった。さらに「Here We Go!!」と「AGAIN」は、つながりを持つ2曲を生かしたマッシュアップで披露。2022年末に発表され、翌2023年のグループ史上最大規模アリーナツアーと同名のアルバムを象徴する「Here We Go!!」は、ジェルが活動を休止していた4人時代の一曲だ。対する「AGAIN」は、6人へと戻ってからの歩みを描く。難易度の高いダンスを行き来する構成そのものが、4人だった日々と今の6人とを一本につなぎ、“夢の続きを始める”というメッセージを、節目からさらに先へ踏み出そうとするこの日のライブに重ねていた。最初のMCが終わると、その勢いのまま次のステージへ。ななもり。が作詞を手掛けた「Next Stage!!」は、“夢のステージ、もっと先へ”“現状維持じゃ平行線”と、新時代の挑戦者として前へ進む決意を掲げるナンバーだ。メンバーはトロッコに乗ってアリーナを巡り、リスナーのすぐそばまで会いに行って惜しみないファンサを届けていく。そして、本来ななもり。が担っていたパートは、この日、5人で分け合うように歌い継がれた。自己紹介的な要素とコール&レスポンスを含む一曲が久しぶりに披露されたことも相まって、懐かしさとこれからへの期待が同時ににじむ時間となった。

次に披露するのは、すとぷりの定番曲「スキスキ星人」では、“もっと君に恋したい”と歌う、宇宙をテーマにした浮遊感のあるポップな世界観とキャッチーなメロディーはそのままに、ダンスを見せるだけでなく積極的にファンサを届けながら歌う姿が印象的。“スキのシグナル”が会場じゅうを飛び交うなか、そこから地続きに披露されたのが、10周年イヤーの2026年に生まれた「イヤイヤ星人」だ。どちらもボカロシーンで知られるナユタン星人が手掛けており、“好き”を伝える前者に対し、こちらは“君じゃないとイヤ”という想いを、素直になりきれないもどかしさごと描く、まさに続編ともいえる一曲。TikTokでも大きく広がったこの曲では、5人による本格的なフォーメーションダンスが目を引いた。長く愛されてきた定番曲と、10周年に生まれた新曲。その2曲を続けて聴くことで、すとぷりの変わらない魅力と、この10年での進化とが、くっきりと浮かび上がってくる。畳みかけるように届けられた「STRIKE the PRISON!!」は、ill.bellとDYES IWASAKI(FAKE TYPE.)が手掛けた、脱獄をテーマにしたラップ調のナンバー。“皆と同じじゃないとダメ? 人と違うからいいんじゃないの”と、はみ出し者を力強く肯定するこの曲を、コール&レスポンスで会場ごと巻き込み、振り付けを伴ったパフォーマンスで、その荒々しさと反骨心を立体的に描き出す。ここでも、本来ななもり。が担っていたパートは5人で歌い継がれた。

ここで場内が暗転し、スクリーンにはジェルが手掛ける「遠井さん」の映像が流れ始める。メンバーもその世界へと足を踏み入れ、“二次元実写化マシーン”によって二次元のキャラクターをリスナーの声で実写化していくという趣向へ。ジェルとるぅとの掛け合い、さとみところんによるバイクで掃けるシュールなシーン、莉犬によるシチュエーション企画と、それぞれの個性を生かしたコミカルな時間が続き、張り詰めていた会場の空気がやわらかくほどけていった。

そのままライブはユニットコーナーへと進む。楽曲ごとに衣装も替わり、メンバーの組み合わせによって、まったく異なる表情が次々と引き出されていく。まずころんとさとみが「遊獣浮男ボーイ」を披露。“王子様”という今回のイメージとは一線を画す一曲で、“終電まで時間あるでしょ、もう一軒奢るから”と軽やかに口説くような、少しチャラさをまとった大人の男性像を描く。バーを思わせる演出のなか、背中合わせで歌う場面もあり、“さところ”ならではの格好良さがにじんだ。続く「スピール」は、ボカロPのかいりきベアが手掛けた、本来はななもり。とジェルによる楽曲。この日はななもり。のパートをころんが受け取り、ジェルと2人で届けた。今回のユニットコーナーで胸に残ったのが、この“歌い継ぐ”という形である。そこにいないから披露しないのではなく、別のメンバーがパートを受け取り、大切な曲を10周年のステージへ連れてくる。その選択そのものに、確かな想いが宿っていた。雰囲気を一転させたのは、莉犬とるぅとの“るぅりーぬ”による「ギミ・ギミ・キミ!」。莉犬が自ら作詞を手掛け、自身のフルアルバムに収めた一曲。“一分一秒もキミから離れたくない”という真っすぐな恋心を、電子の国のおとぎ話になぞらえて描くラブソングを、トロッコで会場を回りながら愛らしく歌い、リスナーとの距離を縮めていく。さとみとジェルの「脳内ピエロ」もまた、ななもり。のパートを2人で歌い継いだ一曲。“スキっていっぱい言ってた君は飽きっぽい”と、去っていく相手に振り回される男の姿を、滑稽さと切なさを同居させて描く。パントマイムのような所作も織り交ぜ、また異なる表情を見せた。そして莉犬・るぅと・ころんの“信号機組”が、るぅと作曲の「道標」へ。赤・黄・青という3人のメンバーカラーを想起させる“止まる・戻る・進む”のモチーフを織り込みながら、自分たち自身が誰かの道標になっていくと歌う。愛らしい楽曲が多い信号機組のなかでも、ひときわ骨太な格好良さを感じさせた。

再び暗転すると、スクリーンにはこれまでのライブを振り返る映像が流れ始めた。まだ会場が小さかった頃から、幕張メッセ、ベルーナドーム(西武ドーム)、東京ドームへ。2017年頃から続いてきた「すとろべりーめもりー」の歴史が、今回の10周年アリーナツアーへと一本の線でつながっていく。とりわけ目を引いたのは、その映像の始まりだった。リスナーから寄せられた「ライブをやってほしい」という声から、物語が動き出すのである。その声を受け取り、現実にしてきた積み重ねによって会場は少しずつ大きくなり、ついにはドームへ、そして10周年へと到達した。リスナーの声が景色を変え、その景色がまた新たなリスナーを呼んでいく。この映像そのものが、すとぷりというグループのあり方を映しているようでもあった。

ここでメンバーは、王子様然とした華やかな装いから一転、ホワイト&ブラックを基調としたクールな新衣装へと着替えて登場。ライブは本格的なダンスパートへと突入する。口火を切ったのは、すとぷりの格好良い系を代表する「GO GO CRAZY」。さとみが客席へひと声投げかけて煽り、ボルテージを一気に引き上げると、そのまま楽曲へとなだれ込む。曲の冒頭からいきなりサビが置かれた構成で、その頭サビへ飛び込む直前に大きな爆発音が轟く。「来た」と思わせるその瞬間の爆発力は抜群。長くライブで愛されてきた定番曲ならではの、揺るぎない高揚が会場を満たした。続く「Ride on Time」は、TeddyLoidが提供したダンスナンバー。“抑えられないheat”を解き放つように、紅く舞う花びらを思わせる熱い恋を疾走感たっぷりに描く。以前のパフォーマンスからさらに洗練され、発表からの4年間の成長を体現するようなダンスへと磨き上げられていた。「僕らだけのシャングリラ」は、“顔を上げて涙を拭いてよ、君のまま変わらなくていい”と、落ち込む誰かにそっと寄り添う一曲。すとぷり初の実写MVが制作された楽曲としても知られるが、その頃の振り付けからダンスは大きく変わり、前回の「すとふぇす(STPR Family Festival)」で初披露された新たな振り付けで届けられた。かつてからは想像もつかない難度のダンスを5人がやすやすと踊りきるその姿に、彼らの現在地がはっきりと表れていた。ダンスパートを締めた「Streamer」は、ななもり。も作詞に加わった、配信者として歩んできたすとぷりだからこそ歌える一曲。“わこぷり”や“おつぷり”といった生配信文化の言葉や、青い鳥を追いかけてここに辿り着いたという歩みまで詰め込まれている。以前からダンスは存在していたものの、実写ライブでここまで踊り込む姿を見られたことも新鮮だった。

続く「パンピじゃないのよッ‼」は、“パンピ(一般人)じゃない”というフレーズで有名税をコミカルに描いた一曲。街を歩けば人だかり、盗撮や嘘の記事に振り回されても自分たちの生き方を貫くと歌う、遊び心たっぷりのナンバーで会場を沸かせた。ここから先は、公演ごとに披露曲が変わるのも今回のツアーの面白さ。メンバーそれぞれにゆかりのある曲が日替わりで登場し、「今日は何が来るのか」という楽しみが用意されていた。東京公演ではスタンドトロッコも加わり、アリーナだけでなくスタンドの上層までメンバーが会いに行くことで、どの席のリスナーにも楽しさが届けられる。会場のどこにいても“置いていかれない”というこの目配りは、リスナー一人ひとりを大切にしてきたすとぷりらしさそのものだった。この日届けられた「希望のチューしよっ」は、神聖かまってちゃんが提供した一曲。ネットで浴びた辛い言葉さえ“誹謗中傷するならチューしよっ”と愛で返してしまう、すとぷりらしい強さとユーモアを湛えたこの曲を、指差しなどのファンサを送りながら明るく歌っていく。そのままライブは、楽曲を次々とつなぐメドレーへ。先の「スキスキ星人」「イヤイヤ星人」と同じくナユタン星人が手掛けた、「大宇宙ランデブー」「ギンギラ銀河」「ストロベリー☆プラネット!」の宇宙モチーフの楽曲が連なっていく。同じ“宇宙”を掲げながらも異なる角度から描かれた3曲が、メドレーならではのスピード感で会場の熱をさらに加速させた。

場内は暗転し、再びスクリーンに映像が流れる。今度は2019年のメットライフドームや2022年のドームツアーなど、過去の大きなステージでメンバーが語ったMCの振り返りだ。あの頃、彼らが何を思い、何を語っていたのか。その言葉を現在の6人とともにたどり、さらに映像は、グループが経験した波乱の時期へと進んでいく。ななもり。・ジェルが活動を休止し、残りのメンバーで歩まざるを得なかった日々、そして再び6人がそろうまでの時間。仲間を温かく見守り続けたメンバーの姿がにじむその映像を経て、ライブはより感情的なパートへと入っていった。ここからの数曲は、華やかなアリーナの熱狂とはまた違う、静かで深い時間となる。“さみしいよ”と読む「33414」は、ジェルの活動休止という出来事とも深く結びついた一曲。“楽しい時間はすぐに過ぎる、会える機会も少なくなるなら”と、限りある時間を惜しむ気持ちを描く。明るく振る舞っていても涙がこぼれてしまう、そんな心の揺らぎまで抱えた楽曲だからこそ、これまでを知るリスナーにとってその歌声が持つ意味は大きい。久しぶりに5人のそろったステージでこの曲を聴けたこと自体が、深く胸に迫るものだった。続く「Stars and Prayers」は、先の「STRIKE the PRISON!!」と同じくill.bellとDYES IWASAKIが手掛けた、ジェルが活動を休止していた4人時代に生まれた楽曲。“叶うかどうか分からない、そんな約束をしよう”と歌い、離れていても胸に仕舞った約束でつながっていられると信じる、祈りにも似た一曲だ。だからこそ、ジェルが戻ったからといって単純に歌割りを組み直すのではなく、当時の形を大切に残したまま届けられた。多くの部分でジェル自身も4人の歌を“聴く側”に立ち、相手の一生分の幸せを祈るパートを歌う。4人が紡いだメロディーの上に、戻ってきたジェルの声がそっと重なる瞬間は、言葉にしがたい感慨をもって会場を包んだ。落ちサビではジェルを中央に置き、メンバーが彼を見つめながら一人ずつ歌い継いでいく。4人だった時間を消すのではなく、その時間ごと5人で抱えて未来へ進む。彼らなりの答えを見せられたような演出だった。張り詰めた空気をやわらげたのは「マブシガリヤ」。るぅとと松が手掛けた、新しい一歩を踏み出す人の背中をそっと押す、爽やかな応援ソングだ。最初からすべてできなくてもいい、少しずつ目を開いて慣れていけばいいと歌うこの曲は、「Prince」と同じくアカペラも大きな聴きどころ。最後に5人でそろえた「一緒に行こう」という言葉は、次の10年へ、そして11年目へと歩み出す彼らから、リスナーへそっと差し出された手のようにも聞こえた。

王冠型のゴンドラが再び登場し、そこから届けられたのは「アニバーサリー」。1stフルアルバム『すとろべりーらぶっ!』に収録され、10周年の2026年に新たなMVも制作された楽曲だ。星空を見上げて願いを込め、“記念日にできたらいいな”と隣にいる大切な人との時間を願う。これからの日々をひとつずつ記念日にしていこうという、かつて交わした約束を、10周年という“アニバーサリー”そのものの場所でもう一度歌う。曲が生まれた当時と現在、その時間の重なりまで含めて、この日だからこそ意味を持つ一曲となった。続いては、2024年公開の『劇場版すとぷり はじまりの物語〜Strawberry School Festival!!!〜』の世界へ。映画の映像とともに、挿入歌「生まれたその時から」「虹のはじまり」オープニング主題歌「雨天決行」エンディング主題歌「誓いの花束を〜With You〜」の4曲がメドレーで紡がれていく。一人ひとりの個性や違いごと受け入れていく「生まれたその時から」、心に雨が降っていても“やってみたい”という気持ちを胸に一歩を踏み出す勇気を描く「虹のはじまり」、誰かに決められた道ではなく自分たち自身の力で進んでいく力強さを歌う「雨天決行」、そして傷ついたり間違えたりしながらも前を向いて歩いていく姿を綴る「誓いの花束を〜With You〜」。映画で描かれた物語と思い出を、ライブという場所でもう一度たどり直すようなメドレーだった。そこから「アモーレ・ミオ」「はりーはりーらぶっ」「かりすまでびるっ!」をつないだメドレーへ。近年あらためて注目を集めた「アモーレ・ミオ」ではダンサーとともに華やかに舞い、学園を舞台にした初期の人気曲「はりーはりーらぶっ」、そして小悪魔的な魅力を放つ「かりすまでびるっ!」へ。初期から長く愛されてきた個性豊かな楽曲を、一息に駆け抜けた。

MCを挟んで届けられた「革命前夜」は、すとぷりと縁の深いHoneyWorksが手掛けた、長い年月を経て久しぶりにライブへと戻ってきた一曲。“今日の自分が昨日よりも好き”という小さなレボリューションを掲げ、失敗すらも肯定して白紙のページへ飛び込んでいく。活動の形を変えながら10年間、前へ進み続けてきた彼らが節目のステージで再び歌うと、“革命前夜”というタイトルさえ、11年目へ向かうすとぷりを指し示しているように感じられた。そして本編最後を飾ったのは、10周年記念楽曲「シンデレラへ。」。HoneyWorksによる提供曲で、“リスナーはシンデレラ、すとぷりは王子様”という長年築かれてきた関係を、あらためて描いた楽曲だ。開演前にも流れていたこの曲が、本編の最後にもう一度帰ってくる。円環を閉じるように「ありがとう」の言葉を残し、本編は幕を下ろした。

鳴りやまないアンコールに応えて、制服衣装に着替えた5人が再び姿を現す。届けられたのは、「パレード」シリーズのメドレーだった。「パレードはここさ」「パレードへおかえり」「パレードはここから」。文化祭やパレードをモチーフにした3曲だが、その“パレード”は、すとぷりとリスナーが作り上げてきたライブそのものにも重なって聞こえる。ライブそのものの楽しさを高らかに描いた「パレードはここさ」、思うようにライブができなかった時代を越えて“帰ってきた”喜びをかみしめる「パレードへおかえり」、そして大きなツアーを終えてもなお物語はここから続いていくと歌う「パレードはここから」。この3曲を10周年で続けて聴くことで、シリーズが歩んできた時間そのものが、ひとつの大きな物語として立ち上がってくる。メンバーはトロッコでアリーナを回りながらファンサを重ね、カラーボールを客席へ投げ入れるプレゼントもあり、遠くの席にいるリスナーのもとまで、余すことなく笑顔を届けていった。“100パーテンション上げる、夏です”とはじける「チェキラ☆」で、アンコールらしい夏の弾けるような明るさをふたたび会場いっぱいに広げると、HoneyWorksが手掛けた学園ラブソング「大好きになればいいんじゃない?」へ。“僕だけのプリンセス”に向けた、相手を幸せにしたい、ゆっくりでも手を取り合って歩いていきたいという言葉の数々は、恋愛ソングでありながら、すとぷりとリスナーの関係にも不思議と重なる。そしてHoneyWorksが手掛けた代表曲のひとつ「おかえりらぶっ!」。“6つの影が光に憧れた”と歌い出すその歌詞には、6人で歩んできた時間の面影も宿る。“応援するよ、いつだって”“隣がいいよ、帰っておいで”と寄り添い、「ただいま」に「おかえり」と返す。いつでも帰ってこられる場所がここにあると歌うこの曲が10周年ライブの終盤に置かれていることにも、大きな意味を感じさせた。ここでスタッフから、10周年を祝う大きな苺型のケーキがサプライズで登場し、5人が仲良く頬張る微笑ましい場面も。あわせて、最終公演のライブ映像配信や、10月3日に東京・お台場で開かれる大型野外フェス「a-nation」への出演といった、うれしい発表も続いた。グループ初の野外音楽フェス出演となる。

アンコール最後に選ばれたのは、すとぷりにとって原点ともいえる楽曲「Strawberry Prince Forever」。れるりりが手掛け、長年リスナーに愛されてきたこの曲は、2025年発売のベストアルバムの表題にもなった、グループの歴史そのものといえる一曲だ。センターステージがゆっくりと上昇し、回転していくなか、5人は会場のすみずみまで見渡しながら歌う。そこへ、待っていたように返ってくるリスナーの大合唱。ステージからリスナーへ、リスナーからステージへと歌声が幾度も行き交うその光景は、10年間積み重ねてきたものが目の前に形となって現れたようだった。歌い終えると、5人はマイクを使わず、肉声で「ありがとうございました」と会場へ届ける。広い代々木の空間に、飾らない生の声がまっすぐ通っていく。その一言に、この10年で築いてきた信頼のすべてが込められているようだった。こうして10周年ライブは幕を閉じた――かに思われた。

鳴り響くダブルアンコール。当然、リスナーはまだ終わらせない。「会いに行っちゃう?」という影アナのコールに導かれ、5人がもう一度ステージへ姿を現す。本当の最後に届けられたのは、Funk UchinoとMAMUSHIが手掛けた「Dreaming Parade」。ベストアルバム『Strawberry Prince Forever』にも収められた、すとぷりとリスナーがみんなで作ってきたものを未来へと運んでいくような一曲だ。“Hello, new world!”と高らかに歌い出すこのナンバーは、10年という長い時間旅行を終えたばかりの5人とリスナーを、そのまま次の物語へと連れ出していく。「Strawberry Prince Forever」で“これまで”を抱きしめ、「Dreaming Parade」で“これから”へ向かう。10周年の締めくくりにこの順で2曲が置かれたことが、何よりも強く印象に残った。

結成前まで時計の針を巻き戻す映像から始まったライブは、すとぷりが歩んできた10年を、一つひとつ現在へと連れ戻していった。初期から歌い継がれてきた楽曲、ドームを目指して駆け抜けた日々、メンバーの活動休止、思うように前へ進めなかった時間、4人で守った場所、ジェル・ななもり。の復帰、そして10周年に生まれた新曲。この日のセットリストに刻まれていたのは、きれいな思い出だけを並べた年表ではない。涙も笑顔も、迷いも決断も、止まってしまった時間さえ残したまま、何度だって立ち上がってきた彼らの足跡だった。

過去の楽曲に新たなダンスが加わり、そこにいないメンバーのパートは仲間の声によって歌い継がれ、4人だった時間も消されることなく今のステージへと重ねられた。起きてしまった事実を変えることはできない。それでも、そのすべてを抱えて奏でていくことはできる。この足跡は、どんな嵐にも吹き飛ばせない――そんな意志が、一曲ごとの歌声とパフォーマンスから伝わってきた。正解なんて誰も知らない。それでも「道標」で、自分たちが誰かの進む先を照らす存在になると歌ったように、彼らはこれまでも、地図には載っていない明日へ向かって歩き続けてきた。

彼らは、最初から特別だったわけではない。それでも、この広い世界で互いを見つけ、届けられた声に応え続けるなかで、すとぷりとリスナーはかけがえのない関係を築いてきた。変わっていく景色のなかにも、変わらず残り続けるものがある。今日まで何度も交わされてきた“大好き”が積み重なり、ついには15万人を動員するアリーナツアーを満たすほどの大きな光景になったのだ。その歌声に重なるように、会場からもまた、今日までの彼らへ「ありがとう」が返されていた。

けれど、この夜の最後に待っていたのは、別れを告げるための歌ではなかった。ダブルアンコールで届けられた「Dreaming Parade」は、10年間咲かせてきた花を眺めるのではなく、そこで生まれた新たな種を未来へ運んでいくような一曲だった。「Strawberry Prince Forever」でこれまでの歴史に感謝し、「Dreaming Parade」でまた次のシナリオへ向かう。彼らが示していたのは、10周年が物語の結末ではなく、新しいストーリーの始まりだということだ。

冒頭で過去へと巻き戻された時計の針は、もう未来へ向かって止まることなく進み始めている。狙いを定めたその先で、たとえ再び強い風に吹かれたとしても、彼らはこの10年で積み上げた“大好き”を力に変え、何度でも立ち上がるのだろう。涙も笑顔もすべて見せながら、誰もまだ知らない景色の向こうへ。365日を重ねるたびに“好き”を巻き起こし、この気持ちを忘れないように、何度でも歌い、奏でていく。

今日までの君に、ありがとう。そして、君と築いてきた歴史に感謝を込めて――すとぷりとリスナーのパレードは、この音に乗って、また次の物語へと進んでいく。