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7人の“2歩目”が、武道館への航路を照らす夜。
2.5次元歌い手アイドルグループ・すにすて - SneakerStep Prod.STPR MUSICが、2026年7月27日(月)から8月26日(水)にかけて、Zepp各会場を巡る2度目のワンマンライブツアー『We are SneakerStep! -2nd Step-』を開催した。日本武道館を大きな夢に掲げる7人にとって2巡目となる今回のツアーは、前回から福岡を新たに加え、横浜・愛知・大阪・福岡の4都市・全11公演へと拡大した。新たな都市が加わったこと自体が、この一年での彼らの成長と、広がり続けるファンの熱を物語っている。各公演には異なるサブタイトルが用意され、その幕開けを飾る横浜・KT Zepp Yokohama公演に冠されたのは“SPARK”、すなわち「始まりの点火」だった。ネットの海から生まれた7人が、いよいよ全国のZeppを自分たちの色に染めていく――そんな野心のにじむツアーの、記念すべき初日。ここでは、その横浜公演の模様をお伝えする。
にしき、らお、だいきり、たちばな、ゆたくん、やなと、おさでいの7人からなるすにすては、インターネットの“歌ってみた”を出発点に活動の場を広げてきた新進気鋭のグループだ。ストリートを感じさせるアーバンなサウンドを核に、官能的なナンバーからポップチューン、切ないラブソングまで幅広くこなす懐の深さが持ち味。デビュー曲「SneakerStep」で鳴らした最初の一歩から、リスナーであるメイツの手を取り、いま武道館という夢へ向かって力強く加速し続けている。結成からの一年で楽曲もステージ経験も着実に積み重ね、この2巡目のツアーで、ひとまわりもふたまわりも大きくなった姿を見せようとしていた。
開演前、まずメンバーによる影ナレーションが場内に響く。公式生配信で用意された5つのテーマの中から、この日の公演カラーをその場のくじで引き当てるという趣向だ。どのテーマを引き当てるかで一夜の色が変わるという遊び心に満ちた仕掛けは、「同じ公演は二度とない」というライブの醍醐味を、開演前から強く予感させる。今日はいったいどんな夜になるのか――無数のペンライトが夜明け前の星のように揺れるなか、場内が暗転した次の瞬間、超高速のビートが空気を切り裂く。1曲目は「SUPERSONIC」。メンバーカラーを取り入れた新衣装の7人が、それぞれ個性的なポーズやソロのダンスで姿を現すと、KT Zepp Yokohamaは割れんばかりの歓声に包まれた。楽曲に合わせたハンドクラップでフロアをひとつにまとめながら、確かなダンス力と疾走感あるステップを同時に叩きつける。ペンライトの海が一斉に揺れ、歓声と重低音が渾然一体となって会場を震わせるなか、開演からわずか数十秒で温度は早くも沸点へと達した。まさに“始まりの点火”にふさわしい、鮮烈きわまりない着火だった。
畳みかけるように放たれた「OUTLIERS」では、クラブのようなライティングがステージを妖しく染め、挑発的な視線と鋭いパフォーマンスで、王道とは一線を画すすにすて独自の美学を突きつける。一転、「Seven Soul Style!!!」ではステージを左右に大きく使い、7人それぞれの魅力を見せながら客席を煽ると、“ビジュ・顔・性格”を掛けた“トリプルS”のコールが早くも大合唱に。硬質なクールと弾けるようなポップ、その振れ幅の大きさを冒頭から惜しみなく示すあたりに、7人の並々ならぬ自信がにじむ。最初のMCでは、それぞれがツアーへの意気込みを語り、「声が枯れるまで頑張ります」と宣言。武道館という共通の目標を口にする眼差しは、すでにこの横浜の先にある景色を見据えているようだ。短い時間ながら7人の飾らない人柄がにじみ、ステージとフロアの距離をぐっと縮めていった。
再び走り出したステージは、まるで青春そのものだった。お気に入りのスニーカーで街へ繰り出すような「Street Step」では、ダンス隊長・やなとを先頭にした間奏のダンスが圧巻の一言。見慣れた景色さえきらきらと輝いて見える、かけがえのない“今この瞬間”を切り取ったこの一曲で、フロアはひとつの大きな遊び場へと姿を変えた。続く「Step into the World」ではMVの振付を実写で再現し、ラストは全員での“すにすてポーズ”でメイツと息を合わせる。そして平成ストリートを思わせる、初披露の「ホレタミレタ」では、TikTokでおなじみの振付とはまた異なる、サビの色っぽいダンスで新鮮な一面を見せる。この一連を通じて、すにすてが根っこに持つ“ストリート”の体温が、フロアの隅々まで心地よく伝わっていった。ここでステージは思いがけない表情を見せる。突如、会場を大雨が襲う演出が場内を包み込むと、メンバーはてるてる坊主を掲げ、メイツの「晴れろ」という掛け声に呼応するように雨は上がり、虹色のライティングとともに大きな虹が架かる。その先に届けられたのが、すとぷりの「虹のはじまり」。勇気が出せず心に雨を降らせていた誰かが、それでも一歩を踏み出し虹の向こうへ飛ぼうとする――その歌詞の世界観が、目の前で起きた“雨のち虹”の演出と寸分の狂いもなく重なり合う。うつむいた背中をそっと押すようなやさしいハーモニーが、雨上がりのZeppをやわらかな多幸感で満たしていく。演出と選曲が完璧に噛み合った、この日屈指の名シーンだった。
雨上がりの空気を引き継ぎ、Orangestarの「Surges」を夏の疾走感そのままに駆け抜け、いきものがかりの「じょいふる」ではコールアンドレスポンスが炸裂。“歌ってみた”を出自とするグループらしく、名曲のカバーを堂々と自分たちの色で鳴らしきる。他者の名曲を自分たちの解釈で再構築してみせるその手腕に、積み重ねてきた歌の力があらためて滲み出た。高まった熱を心地よくほぐしたのが、MC企画「箱の中身は何だろな?」。中身の見えない箱に手を入れたメンバーの愛嬌たっぷりのリアクションに客席は何度も笑いに包まれ、ステージとフロアが一緒になって笑い合う、ライブでしか味わえない和やかな時間が流れた。
やわらかな空気を、今度は大人の色香が一変させる。ダークスーツをまとった“COOL組”――にしき・だいきり・たちばなの3人は、パープルのライティングのなか「MΞLLOW FΞLLOW」を艶やかな腰振りダンスで官能的に歌い上げ、「Toxic Magic」ではマイクスタンドを操って“毒”のような魅力を全身で表現。先ほどまでの弾けるような明るさとはまるで正反対の、ぞくりとする色気に、客席の視線は釘付けとなった。対する“POP組”――やなと・らお・ゆたくん・おさでいは、キュートな衣装で小道具を手に“わちゃわちゃ”とした楽しさを振りまく。各教科が「自分こそが一番」と言い争う擬人化ソング「がっこう戦争」を、ユーモアたっぷりの掛け合いで会場ごと巻き込むと、フランス語で“希望”を意味するコミカルな「エスポワ」で客席を明るく照らす。そして、溶けだしたチョコレートのように甘く切ない恋心を描いた「FALLING」で、フロアを幸福なときめきでいっぱいに満たしていった。硬派で妖艶なCOOL組と、愛らしくポップなPOP組。その正反対の魅力を同じ一夜の中で惜しげもなく並べて見せられることこそ、7人という大所帯を擁するすにすてだからこその、大きな強みだ。
公演はここから、STPRの先輩たちへの敬意が詰まった先輩曲メドレーへ。めておらの「パラドックス」を、弦楽器を弾くようなコレオを交えて本家の振付そのままに踊りきり、AMPTAKxCOLORSの「NUDIE…」では色っぽい腰振りダンスで魅せる。騎士Xの「Summer Night」ではパラパラを思わせるダンスとEDMサウンドが夏フェスのような熱狂を生み、最後はすとぷりの「苺色夏花火」を、ステージ上段に腰掛けて歌詞をかみしめるように歌い上げた。4組の先輩の色を自分たちの身体に一つひとつ通しながら、後輩としての矜持と、いつかその大きな背中に追いつき、追い越してみせるという確かな意志を示してみせた。それは、STPRという大きなファミリーの歴史と未来とが、確かに地続きであることを感じさせる時間でもあった。
終盤は、やなとが振付を手掛けた1周年記念楽曲「Yearing」へ。“year”と“earring”を掛けた造語のタイトルには、音楽がリスナーの耳元に寄り添う存在でありたいという願いが込められている。温かなサウンドと優しいボーカルに、支え続けてくれたメイツへの感謝と、まだ不揃いでも前へ進もうとする成長の誓いがにじんだ。7人が互いに寄り添い、笑い合いながら歌うそのステージに、フロアには柔らかな光がどこまでも広がっていく。続く「UNTOUCHABLE」は、あえてテーマを絞らず、受け取り手それぞれの解釈で初めて完成する一曲。ダークでクールな曲調で再び孤高の表情を覗かせ、表現の幅を見せつけると、本編ラストはデビュー曲「SneakerStep」のバンドアレンジバージョン。“We are! Guess who? Sneaker Step!”の合図とともにワンダーランドへ飛び込むこの原点の一曲を、生バンドの厚みとともに高らかに鳴らし、メンバーそれぞれの弾む掛け合いと、ツアーで磨いた成熟したチームワークで会場をひとつに束ねる。始まりの曲を進化した音で響かせるその姿は、7人がこの一年で確かに歩みを重ねてきたことを証明する“現在地”の宣言そのものだった。
鳴り止まないアンコールに応え、ツアーTシャツに着替えた7人が再び登場。めておらの「ワンナイトコール」から騎士Xの「HIME×GOTO」、AMPTAKxCOLORSの「Club A×C -歌舞伎町店-」と先輩たちの“飲み曲”を浴びせ、すとぷりの「159%」で“乾杯”の大合唱を起こすと、らおが自ら考案したコール&レスポンスが炸裂する「39DISCO」へなだれ込み、“わっしょわっしょ”の掛け声でフロアは祝祭の渦と化した。ラストは「OPTICAL」。全力のダンスとボーカルでバーチャルとリアルの境界を越えて繋がっていく“繋がり”の讃歌を届けると、最後はマイクを通さない生の声で、メイツへの感謝を一人ひとり伝えた。誰も追い越せないほどのスピードで駆け抜けた一夜の、鮮やかな終着点。7人とメイツが完全にひとつに溶け合ったその瞬間、初日の夜は、最高の熱量をまとったまま、静かに、そして鮮やかに幕を閉じた。
この夜は、7人それぞれの見せ場が光った一夜でもあった。ダンス隊長として全体を牽引し「Yearing」の振付も手掛けたやなと、「39DISCO」のコールを考案したらお、「Toxic Magic」で妖艶に魅せたにしき・だいきり・たちばな。一人ひとりが持ち味を存分に発揮しながら、7人揃ったときにこそ最大の力を放つ。個の強さと、揺るぎない結束。その両輪が、この密度の高いステージを支えていた。
“SPARK”――始まりの点火。その名の通り、KT Zepp Yokohama公演は、武道館という夢へと続く航路の、確かな最初の火花となった。青春の眩しさ、大人の色香、先輩への敬意、そしてファンへの真っ直ぐな愛。あらゆる表情を一夜に凝縮してみせた7人の姿は、力強い曲からかわいらしい曲まで幅広く見せるというこのツアーのコンセプトそのものだった。この横浜で灯された火は、公演を重ねるごとに勢いよく加速し、メイツとの繋がりをいっそう深めながら、確かな次の一歩へと進んでいく。そして事実その歩みは、およそひと月後のツアーファイナル・福岡で、グループ初となるホール公演(2027年1月15・16日、SGC HALL ARIAKE)決定という大きな実を結ぶことになる。横浜で灯した“始まりの点火”は、確かな自信と覚悟を纏い、すにすてが次のステージへ進むための揺るぎない一歩として、メイツ一人ひとりの心に深く刻まれた。日本武道館という大きな夢へ向かって、彼らの新たなステップがここからまた力強く踏み出されていくことを予感させる一夜となった。